過失割合に納得出来ない方へ

1 過失割合とは

交通事故案件においては、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることが出来ます(民法709条)。

損害賠償請求をする場合には、被害者の受けた損害額を算定することになりますが、被害者にも交通事故に対する過失がある場合には「裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」とされています(民法722条2項)。

例えば、被害者の受けた損害額が100万円の場合、被害者自身にも2割の過失があるとされた場合には100万円から2割である20万円を控除した80万円の損害賠償請求が認められるということになります。

これを過失相殺と言いますが、過失相殺をする前提として被害者と加害者にそれぞれどの程度の過失があるのかという割合を過失割合と言います。

過失割合は損害賠償の金額に大きな影響を与える事情であるため、交通事故事案において大きな争点になることがあります。

 

2 過失割合の基準

交通事故の事故態様は様々ですが、過失割合がどの程度認められるかということについてはこれまでの裁判例等の積み重ねから類型化されています。

実務上重視されているのは、「民事交通事故における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズ38号)及び損害賠償額算定基準(赤い本)における基準です。

 

3 保険会社提示の過失割合に納得出来ない場合

交通事故被害者の方からの相談の中には保険会社提示の過失割合に納得できないというものが少なからずあります。

その理由として考えられるのは、交通事故について特段の知識のない被害者に対して保険会社の担当者が判例タイムズという単語を出して、数ある交通事故類型の中から賠償金を支払う保険会社側に有利なものを選択している、あるいは被害者に有利な(賠償額が増える方向の)修正要素を無視しているということが考えられます。

修正要素というのは、判例タイムズの各類型はまずは基本的な過失割合を示した上で、例えば著しい速度超過や前方不注意等がある場合には基本的な過失割合の修正を認めているのですが、そういった修正要素を無視して客観的な事故態様からして不相当に被害者の過失割合が大きくされている可能性もあります。

このような過失割合に判断には専門的知識が必要ですので、保険会社提示の過失割合に少しでも納得できないという気持ちを抱いている方は弁護士に相談をしていただければと思います。

 

4 素因減額について

交通事故被害者の損害額算定に際して、保険会社からは身体的素因あるいは心因的素因による減額の主張がなされることもあります。 

どういうことかというと、交通事故被害者に一定の損害が生じたことは認めるが、そこまで損害が大きくなったのは被害者自身の身体的特徴や交通事故以前からり患していた症状のためである、あるいは被害者がうつ病傾向にあったから被害が通常より拡大したのであって、その分は賠償額を減額すべきであるという主張です。

法律上は過失相殺を規定する民法722条2項を類推適用するという主張になります。

保険会社からこのような主張がなされた場合には、その主張が適切か否かを判断するには専門的知識が必要ですので、弁護士に相談して頂ければと思います。 

 

5 弁護士に依頼するメリット

過失相殺の主張によって低額な賠償額で示談しようとする保険会社に対して専門的知識を前提とした反論をすることで適切な金額での賠償額を確保することが可能です。

また、弁護士であれば、事故態様の調査のために弁護士会照会等により実況見分調書等の刑事事件記録を取り寄せて過失割合の適切な判断をすることも可能です。

 

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