遺留分を侵害された方へ

1 このような場合にはご相談下さい。

被相続人の死後に初めて遺言書の存在が明らかになる場合もあります。

例えば、親が亡くなった場合に、子らのうちの1人、例えば長男なら長男に遺産を全部与えるという内容の遺言書が見つかったり、あるいは法事の際などに、長男から「実はこのような遺言書があるんだ。」と言われることもあります。

次男であったり、長女であったりは「何だか納得できない。」と思ったりもするわけですが、公正証書遺言だし、遺言方式に不備があるわけでもなさそうなので、諦めないといけないのだろうかとも考えたりもしますが、やはり納得できない。

このような場合、次男であったり、長女であったりは諦めるしかないのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。

この場合の次男あるいは長女は、仮に遺言書が有効であったとしても、遺留分侵害を理由として遺留分減殺請求をすることが可能ですので、まずは弁護士にご相談下さい。

 

2 遺留分とは

遺留分とは被相続人の遺言等に関わらず法定相続人に法定相続分の一部を保証する制度です。

被相続人が遺贈あるいは生前贈与(基本的に相続開始前の1年間になされら生前贈与)により遺留分を侵害した場合には、その遺贈あるいは生前贈与の減殺を請求することが可能です。

法律上は、「遺留分を保全するのに必要な限度で」「遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる」と規定されています(民法1031条)。

要は、例えば、遺言によって全く遺産相続が出来ないとされていたり、本来の法定相続分より大幅に少ない遺産相続しかできないような場合に、そのような相続人を保護する制度です。

なお、遺贈や生前贈与でなくても、遺言による相続分の指定(民法902条1項)や遺産分割方法の指定の場合(民法908条。なお、「相続させる」という文言の遺言がなされている場合は、遺贈と解すべき特段の事情のない限り遺産分割方法の指定とされています)も遺留分減殺請求は可能とされています。

 

3 遺留分権利者

遺留分を主張できる権利者は「兄弟姉妹以外の相続人」(民法1028条)とされていますので、亡くなった被相続人の兄弟姉妹は遺留分の主張、遺留分減殺請求をすることは出来ません。

そして、遺留分の割合は、直系尊属(被相続人の父母等)のみが相続人である場合には被相続人の財産の1/3、それ以外の場合には被相続人の財産の1/2とされています。

 

4 遺留分の算定

(1) 遺留分の算定をするにはまず、算定の基礎となる被相続人の財産額を確定する必要があります。

その場合、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定するとされています(民法1029条1項)。
要するに、「相続開始時の財産額+贈与した財産額-債務額」ということです。

(2) この計算において考慮される贈与は基本的に相続開始前の1年間になされたものに限定されます(民法1030条)。

但し、それより以前の贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与は考慮されることになります

(3)その他、遺留分算定には特別受益等の問題も関わりますし、専門的知識が必要ですので、適切な権利主張のために詳細は個別に弁護士にご相談下さい。  
 

 

5 遺留分減殺請求権の消滅時効

遺留分減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅するとされています(民法1042条)。

要は、1年間を経過すると遺留分を侵害されていても権利を主張できなくなってしまうということです。

相続紛争は感情の問題も絡み、当事者同士で任意の話し合いをしてもまとまらない、あるいは話し合い自体が難しいということも珍しくなく、そうこうしているうちに1年間はすぐに経過してしまいます。

遺留分について疑問がある方は早急に弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

6 弁護士に相談するメリット

  1. 相続、遺留分に関する専門的知識に基づいて遺留分に関する適切なアドバイス、サポートが可能です。
  2. 弁護士であれば、任意交渉はもちろん、調停や審判、訴訟を通してご依頼者様の代理人として交渉、手続遂行が可能です。

これは専門的知識に基づく適切な解決という意味ではもちろん、相手方との交渉を全面的に弁護士が代理することによる精神的なストレスの軽減、安心感にもつながります。

 

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