【コラム】面会交流について

2016-11-25

離婚事案の相談では、多くの場合、子との面会交流が問題となります。

面会交流とは、離婚(あるいはその前提の別居)に際して

未成年者と別居することになった父又は母が、未成年者と面会をすることです。

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離婚時には母親が親権者となることが多いため、妻子と別居した父親が

子に対する面会を求めるパターンが多いですが、

逆のこともありますし、子が父親と母親に分離されていることもあります。

法律上、離婚に際しては面会交流について定めるべきものとされており(民法766条1項・2項)、

その場合には子の利益を最も優先して考慮するとされています。

そして、実際の実務でも面会交流は基本的には子の福祉にかなうものとして

積極的に面会交流を認めるべきとされています。

しかし、そうは言っても面会交流についてはもめてしまって

なかなか実施が出来ないことも多いのが現実です。

 

面会交流拒否の理由としては子や妻に対するDVであったり、

子自身が面会交流を望んでいないという主張が多く見られます。

これらの理由はそれが真実であって面会交流の実施が

子の利益に反することが明確であれば、面会交流を実施しないことは正当であると言えます。

ただ、実務ではその判断がなかなか難しいということになります。

 

夫婦が別居して面会交流を求める事案では、多くの場合が夫婦の離婚問題を抱えていることになります。

そして、離婚問題については協議離婚、離婚調停、離婚裁判と経過しているうちに

長期間が経過してしうこともあります。

その間にも子はどんどん成長しますので、子と別居している親としてはその期間についても

面会交流をしたいという希望が出てくることになります。

このような場合、当事務所では、面会交流をしたい、面会交流をさせたくないという

双方の話を聞きながら、場合によっては弁護士が立会をする等の工夫もして

面会交流を実現出来るようにしています

(面会交流が明らかに子の利益に反する場合は除きます)。

 

しかし、当事者同士の交渉ではどうしても上手くいかないこともありますし、

子自身が面会交流を拒否していると言われるとその判断が困難な場合もあります。

そのような場合には、家庭裁判所の離婚調停や面会交流調停の手続を利用することが有益です。

 

家裁に手続においては調査命令によって家裁調査官の調査官調査が実施されることになります。

家裁調査官は場合により家庭訪問を行ったり、学校や保育園等の調査も行いますので、

その中で子の実際の意思が分かってくることもあります。

また、裁判所の中で調査官立会の下で別居親と子の試行的面会交流が実施されることもあります。

 

その結果、面会交流については最終的には調停で合意するか審判で決着をすることになりますが、

面会交流の方法等について柔軟に取り決めをするためには

出来れば調停で解決した方が望ましいと思われます。

 

子と同居している親がどうしても別居親と会いたくない、実際に面会交流実施のための

連絡をすることも出来ない等の場合には、面会交流の実際については

FPIC等の第三者機関の利用も可能です。

但し、第三者機関を利用する場合には、

調停成立前に両当事者が第三者機関に面接に行く等の手続もありますので確認が必要です。

 

面会交流の合意後も実際には面会交流が実施出来ないかもしれないから

強制できるようにしたいという相談もあります。

しかし、面会交流自体を直接強制する方法はありません。

そこで、正当な理由がないのに面会交流をするには家裁を通して履行勧告(家事事件手続法172条)をする他は、

間接強制金(民事執行法172条)を課すという方法があります。

しかし、間接強制金が認められるためには面会交流の方法(日時、頻度、時間、子の引渡方法等)

についてまで細かく取り決めておく必要があります。

しかし、面会交流に消極的な同居親がそのような細かい条項作成に同意してくれる可能性は低いですし、

仮に同意してもらっても親同士の関係が心情的に悪化してしまえば面会交流にもマイナスになってしまいます。

 

子との面会交流は子の権利でもあるし、別居親としても貴重な機会ですが、

離婚する程に関係が悪化している夫婦同士ですので、いきなり面会交流の条件に多くを望み過ぎずに

少しずつ短時間でも面会交流を重ねていくこと、その際には予め取り決めた面会交流のルールを必ず守って、

面会交流をしても大丈夫という信頼を相手から得られるようにしていくことが現実的です。

 

また、面会交流に消極的な気持を持っている同居親も、

面会交流はあくまでも子自身の権利ということ、不当な面会交流拒否は親権者としての

適正判断の要素でもあることを忘れずに相手方の悪口を吹き込む等によって

面会交流拒否の流れを作らないようにすることが大切です。

 

面会交流を求める方も求められる方も、子にとっては両親のいがみ合いが心理的にマイナス、

負担になることを考えて、大人の事情で離婚する場合には

そのケアを忘れないようにすることが大切です。