遺言書を作成したい方へ
1 遺言書作成の意義
遺言書作成の意義は将来の相続争いを防止するということにあります。
どういうことかというと、民法上は「被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる」と規定されています(民法902条)。
前二条の規定とは法定相続分の規定ですが、法定相続分の規定は単に遺産のうちの何割を相続人が権利として主張できるというものであって遺産のうちのどの部分を誰が承継するかという具体的な分割方法を定めるものではなく、相続争いを防止できるものではありません。
遺言書を作成し、その中で具体的な遺産の相続方法を記載すれば、どの財産を誰が承継するかということを定められるので、将来の相続争いの有効な防止策になります。
2 遺言書の種類
(1)普通の方式の遺言書は3種類
民法上、普通の方式の遺言の種類について、「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない」と規定されています(民法967条)。
(2)自筆証書遺言(民法968条)
自筆証書遺言は、遺言者が「その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない」とされています(民法968条1項)。
この方式さえ守れば自筆証書遺言は簡単に作成できる点が長所です。
ただ、方式の要件を守れていなければ無効となってしまいますので、注意が必要です。
遺言の加除その他の修正をする場合にも、「遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない」と細かく方式が指定されています(民法968条2項)。
自筆証書遺言については保管の難しさもありますし、確実に遺言を残したいという場合には公正証書遺言をお勧めしています。
(3)公正証書遺言(民法969条)
公正証書遺言とは、公証役場の公証人に作成してもらう遺言方式です。
基本的に公証役場まで行って作成しなければならないという煩雑さはありますが、自筆証書遺言のように方式を遵守できていないから無効とされたり、遺言書がなくなってしまった等の心配もありませんので、確実に遺言を残すことが可能です。
証人2人が必要なので遺言の秘密をその意味で完全に守ることは出来ない、あるいは公証人に対する手数料が必要になるという点はありますが、遺言書作成をご依頼頂いた場合には基本的には公正証書遺言を作成するようにしています。
その場合、事前にご相談者様のご希望をよく聞いた上で法律上も適切な内容の遺言書案を作成し、事前に公証人とも打合せをした上で公証役場に赴きますので、ご相談者様のご負担は極力少なくなるようにしています。
(4)秘密証書遺言(民法970条)
秘密証書遺言とは、遺言書を作成した上で封をし、それを公証人及び証人2人に提出し、必要事項を記載してもらう方式の遺言です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的なものとも言えますが、せっかく公証役場を利用するのであれば公正証書遺言を作成すべきとの考えから、当事務所では特にお勧めはしていません。
3 弁護士に依頼するメリット
相続問題に関する専門的知識を前提に、ご依頼者様のご要望を最大限に遺言書に反映させつつ、将来に相続紛争を発生させないように適切な内容の遺言作成が可能です。