遺留分減殺請求の流れ

1 遺留分減殺請求権の行使方法

(1)遺留分減殺請求権の行使方法は、「受贈者または受遺者に対する意思表示よってなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく」とされています(最判昭和41年7月21日)。

そのため、遺留分減殺請求権を行使したい相続人は、遺留分を侵害している相手に対して直接に権利主張をすればよいということになります。
遺留分減殺請求には1年間の消滅時効もあり、実際に弁護士にご依頼を頂いた場合にはまずは内容証明郵便を送付することになります。

(2)内容証明郵便を送付して交渉をしても解決できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てるという流れになります。

この調停は、遺留分侵害者に対して遺留分減殺請求権の対象となる財産の返還を求める形でも可能ですが、共同相続人全員が参加する形式での遺産分割調停の申立の方が全体の紛争解決に有効な場合が多いと思われます。

(3)調停によっても遺留分について解決が出来ない場合には、最終的には訴訟を提起して解決を図っていくという流れになります。

 

2 遺留分減殺請求権行使の効果

(1)遺留分減殺請求権が行使されると、減殺の対象となった遺贈や贈与の効力は遺留分侵害の限度で失効するものとされています。

例えば、共同相続人として太郎と花子がいる事案で、被相続人である父から花子に生前になされたAという財産の贈与について遺留分減殺請求権を行使したとします。

この場合、遺留分減殺請求がみとめられれば、Aという財産の贈与は効力を失い、太郎にAの所有権が帰属するので、太郎は花子に対してAの引渡を請求出来るということになります。
ただ、現実問題としては、遺留分割合の関係からこのようにきれいな形で解決できるとは限らず、例えば遺留分減殺請求権の行使の結果、Aという財産の遺贈や贈与の一部のみが失効し、Aについては太郎と花子の共有という結果になることも少なくありません。

この場合には、共有となった財産についてどのような手続によって分割をするのかという問題が生じます。
このように遺留分減殺請求権の行使は手続が煩雑で専門的知識が必要となることがありますので、詳細は個別に弁護士にご相談下さい。

(2)上記のように、遺留分減殺請求をされた受贈者及び受遺者は対象物を請求者に返還し、場合により共有関係になることになります。

しかし、この場合、受贈者及び受遺者は現物返還ではなく、「減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れる」ことも可能です(民法1041条1項)。

要するに、遺留分の問題を現物返還ではなく、金銭賠償で解決することですが、遺留分を巡る紛争の現実的解決方法としてはこの価額弁償が適切であることも多いでしょう。

 

3 弁護士に相談するメリット

専門的知識をもとに、遺留分の問題はもちろん、遺産分割調停等を通して相続紛争全体の適切な解決が可能です。

 

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