借金の様々な整理方法

1 自己破産

(1)自己破産の目的

自己破産は、債務の支払いが不能になった債務者について債務の免責許可決定(破産法253条)を得ることを目的とする制度です。

免責許可決定が確定したときは「破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる」とされています。

簡単に言えば、自己破産において免責許可決定を得ることによって、借金の支払いを免れることが出来ます(配当に回すべき財産がある場合にはその財産については配当に回されますが、配当分以上に支払いをする必要はなくなります。)。

債務の支払をする必要がなくなるわけですから、債務者の方にとっては大きな力、メリットを有する手続となります。

 

(2)自己破産手続開始の要件

自己破産手続は債務の免責許可決定を得るという大きな効果のある手続ですので、どのような場合にも申立可能な手続ではなく、「債務者が支払不能にあるとき」と言えることが要件となります。

具体的にどのような場合に自己破産手続が可能かの詳細は個別に弁護士にご相談下さい。

 

2 個人再生

(1)個人再生手続とは

個人再生手続とは、民事再生法に規定されている手続であり、借金額を原則的に1/5程度に圧縮し、その圧縮された金額について分割支払(原則的に3年分割)をしていく手続です。

自己破産と異なり、債務の支払義務がなくなるわけではなく圧縮した債務額については支払義務があります。

他方で、任意整理手続の場合と異なり裁判所に申立をする手続であり、また支払うべき債務額が大幅に圧縮される点で任意整理手続とも異なります。

自己破産と任意整理の中間的な手続ということが出来ます。

 

(2)個人再生手続の特徴

個人再生手続の大きな特徴は、自己破産手続の場合とは異なり、債務者に住宅ローンがある場合に、住宅ローンについては債務額を圧縮せずにそのまま弁済を継続することによって住宅を維持することが可能である点です。

自己破産の場合には住宅を手放すことになりますが、個人再生手続の場合には住宅の維持が可能となります。

 

(3)個人再生手続の要件

個人再生手続の要件は、支払不能・債務超過に陥る可能性があることであり、自己破産のように支払不能になったことではありません。

イメージとしては自己破産と任意整理の中間ということが出来ます。

 

(4)再生計画

個人再生手続の場合には、圧縮された債務額について再生計画を作成し、その再生計画について返済をしていくことになります。

そのため、債務総額全部の返済は難しいが、逆に圧縮された債務額の返済は可能と言える家計状況でなければ再生計画は認可されませんし、そのような場合には自己破産を選択することになるでしょう。

 

3 任意整理手続

任意整理手続とは、自己破産や個人再生手続の場合とは異なり裁判所に手続の申立をするものではありません。

業者、債権者と交渉して、月々の支払いについての合意を目指すものであり、自己破産の場合のように支払について免責されたり、個人再生手続の場合のように債務額が圧縮されたりするものではありません。

自己破産や個人再生の手続の要件がみたされない場合には任意整理手続で対応することになります。

借りたものは返済すべきという考え方からすれば、原則的な債務整理方法ということが出来ます。

 

4 弁護士に依頼するメリット

専門的知識に基づき、自己破産、個人再生、任意整理の中から各債務者に応じた適切な債務整理手続の選択が可能です。

また、専門的知識に基づき、自己破産や個人再生のような裁判所における手続も適切に進めることが可能です。

 

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