相続分を侵害された方へ
1 遺産の独り占めは許されない
(1)被相続人が亡くなった場合、例えば、それまで被相続人と同居していた共同相続人のうちの1人が居住用不動産はもちろん、預貯金、動産、有価証券等まで遺産の全部を独占している、他の共同相続人はどういう遺産があるのかもよく分からないということも珍しくはありません。
確かに、被相続人と同居していた共同相続人は被相続人の面倒を見ていたのかもしれないけれど、それ以上に被相続人から財産をもらったり恩恵を受けていたのではないか(特別受益)、あるいは被相続人の死後も遺産を隠し持って消費してしまうのではないか等の疑念を抱くこともあります。
そのような場合、他の共同相続人は黙っている必要はありません。
共同相続人には法定相続分(民法900条)という一定の権利が認められているのですから、その権利実現のために行動をするべきです。
(2)なお、相続の事案では、時折、自分はもめ事は嫌だからと言って、遺産問題を放置する方もいらっしゃいます。
しかし、そのような放置をした場合、その人はよくてもその子供や孫の代になり、相続人の人数が増えたり居住地も散り散りになった後に遺産分割協議をするという手間を残すことになります。
そのため、遺産問題についてきちんと処理をすることは、共同相続人本人のためだけではなく、その子等に手間を持ち越させないためにも必要なことです。
2 遺産分割の進め方
(1) 遺産分割を進めるためには、まずは共同相続人であるかを確定する必要があります。
戸籍を調査することによってそれまで知らなかった相続人の存在(隠し子等)が明らかになることもあります。
弁護士であれば、職務請求によって戸籍を取得して迅速に共同相続人を把握する事が可能です。
(2)相続人を把握したところで、まずは任意での遺産分割協議を持ちかけることになります。
しかし、遺産の独り占めがなされているような事案では任意での遺産分割協議はまとまらないことも多いでしょう。
(3)そのような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停でもまとまらない場合には審判によって解決を図ることになります。
なお、遺産の独り占めがあるような事案では、独り占めしている共同相続人からは「生前に色々面倒を見ていたのだから遺産を多くもらって当然だ」という寄与分(民法904条の2)がなされることも多いでしょう。
このような主張に対しても弁護士であれば専門的知識をもとに適切に対応することが可能です。
また、逆に独り占めをしている共同相続人に対して特別受益(民法903条)の主張をしていくことも考えられます。
遺産分割調停、審判は専門家である弁護士が適切な相続問題解決のために大きな力になれる場面と言えます。
3 弁護士に相談するメリット
- 相続に関する専門的知識に基づいて相続争いに関する適切なアドバイス、サポートが可能です。
- 弁護士であれば、任意交渉はもちろん、遺産分割調停、審判を通してご依頼者様の代理人として交渉、手続遂行が可能です。
これは専門的知識に基づく適切な解決という意味ではもちろん、相手方との交渉を全面的に弁護士が代理することによる精神的なストレスの軽減、安心感にもつながります。
なお、相続開始からあまり時間がたってしまうと、相続分の権利は認められても実際の遺産は一部の相続人によって費消されたり、散逸してしまったりする可能性もあります。
弁護士に依頼するメリットを大きく活用するためにも早期のご相談をお勧めします。